2020年04月21日
第5章 入浴について
●はじめに
入浴は身体の疲れをとり、身体を清潔に保つうえで重要な活動です。しかし、身体の障害や老化により歩くことが難しくなってくると、入浴は困難と思われがちですが、ある程度座ったり、立つことが出来れば、入浴は可能です。そこで、今回は浴槽の出入りについての介助方法について説明したいと思います。
●浴槽の出入りの介助方法について(写真をご参照下さい)
1)浴槽に入る前に
①浴槽の横に浴槽と同じ高さの洗い台(バスボード)またはシャワーチェアーを用意する。台は、動きが良い側に設置する。
②浴槽のふちを掴み、腰を上げ、台に座る。
腰を上げる:
介助者はわきに立ち、お尻をはさむように持ち、前に押し出すように持ち上げる。また、立つ際に麻痺側の膝が曲がってしまう時は、介助者の足を前に置き、つま先が滑らないようにブロックし、対象者の膝と介助者の膝をくっつけ膝が曲がらなようにします。
洗い台に座る:お尻を台のほうにまわすよう誘導する。
③お尻を滑らせまたはお尻を持ち、体を浴槽に近づける。
2)浴槽に入る
①動くほうの足を入れる。→動きの悪い(麻痺している)足を入れる。
足を入れる際、後ろに倒れないように気をつける。また、浴槽のふちを手でつかみ安定させる。
背中を支えながら、次に足を介助しながら(又は自分で)入れる。
②お尻をはさむように持ち、浴槽に入る。
お尻を前に押し出すように持ち上げ、水の浮力を利用しながらゆっくりとお尻を降ろす。
3)浴槽から出る
①お尻を持ち、台にお尻を誘導し座る。
上に引き上げるのではなく、水の浮力を利用しながら、お尻を前に押し出すようにする。台に座るまでは、対象者は浴槽のふち等のつかまることができる場所に手をあて、体が不安定にならないように気をつけます。
②動きの悪い(麻痺している)足を出す。→動くほうの足を出す。
足を浴槽に入れる際と同様に、浴槽のふちを手でつかんでもらい、後ろに倒れないように気をつける。
4)その他
介助者の介助負担を軽減するために、浴槽内に手すりを設置することで、より浴槽への出入りが容易になります。また、手すりの設置が難しい場合は、浴槽のへりに設置することが出来る取り外し可能なグリップ、転倒防止のための滑り止めマット等もあります。
●最後に
入浴動作は、他の日常生活動作と違い転倒の危険性が高く、介護力が最も必要な動作であると思います。しかし、正しい介護方法を知り、ちょっとした環境整備を行うことで、座る・立つ能力が低下している方でも、入浴は可能なのです。