脳卒中&日常生活動作のポイント④

2020年04月21日

第4章 排泄について

 ●はじめに

 排泄とは、便器への移乗、ズボンや下着の上げ下ろし、局所の清拭など様々な動作が複合している行為です。また、『トイレは一人で出来るようになりたい(なってほしい)』という患者様や家族の希望が多く聞かれ、自立に対するニーズが最も高い動作です。そこで、今回は在宅における排泄方法について、簡単に紹介したいと思います。

 

●排泄方法 

 大きく分けて3つに分類できます。

 ①トイレに行って用を足す。 

 ②ポータブルトイレを使用する。 

 ③尿器を使用する。

●排泄の基本  

 可能な限り、トイレで用を足すことが大事です。理由として、排尿・排便するときは直腸の収縮力、腹圧、重力の力が働いており、座位が一番働きやすいためです。 

1)何とか歩ける場合  

・手すりを取り付ける、取り付けが無理であれば、壁や家具を伝って歩くことができるようにする。

2)歩けなくとも立てる場合  

・車椅子に乗り、トイレまで移動する。しかし、車椅子を利用する場合は、ある程度の広さが必要なため、改修の可能性もあり。 

3)車椅子での移動が難しく、トイレに行くことが困難な場合  

・ベッドサイドにてポータブルトイレを使用する。ベッドに『介助バー』を設置することでより立ち上がりなどの動作が容易になる(ただし、ベッドによっては取り付けができない場合あり)。 

4)トイレやポータブルトイレでの排泄が困難であり、介護力に不安の場合  

・差しこみ式の尿器を使用する。寝たままで行うため、失敗しないためには技術が必要となる。そのため、少しくらい失敗しても良いように体の下にタオルや防水シートを敷くと安心に行える。  

●最後に   

 排泄動作は、歩くことや立つことがうまく出来なくとも、手すりを取り付ける等のちょっとした環境整備をするだけで、動作が行いやすくなり、また介助者の介助量の軽減を図ることが出来ます。動けないからオムツを使うのではなく、少しでもトイレに行ける能力があるなら(家族の介護力が必要ですが)、出来るだけトイレでの排泄が良いと考えます。