2020年04月21日
糖尿病は以前から成人病として知られ、現在は脳卒中や高血圧症と共に生活習慣病の一つとされています。この病気は、インスリンの欠乏もしくは作用不全により、高血糖を主とした代謝異常をきたす特徴があり、我が国の糖尿病患者は800万人とも言われています。
《特徴》
① 遺伝因子と環境因子(食事、運動不足、肥満など)により発症
する。
② 持久運動を行うと、血糖値は運動前よりも低下する。
③ 症状憎悪により脱水症状や意識障害などをきたす。
④ 経過中に特有の慢性合併症、特に網膜症・腎症・神経症(糖尿病の三大合併症)をきたす。
《症状》
傾眠、もうろう状態、昏睡、冷汗、振戦、心悸亢進、尿糖の出現、多尿、脱水、体重減少
《糖尿病に対しての治療》
食事療法、運動療法、薬物療法、インスリン療法などがあります。
《糖尿病に対しての運動療法》
① 運動療法の効果
30~60分間程度の有酸素運動を行うと、耐糖能やインスリン作用の機構が改善され、2~3日間にわたって持続する。
② 運動療法を行う際の注意点
運動の実施を見合わせるとき |
運動を中止すべきとき |
・ 血圧がいつもより高く、180mmHg以上の時 ・ 風邪を引いている時 ・ 頭痛がしたり、熱が高い時 ・ 腹痛や下痢の時 ・ 寝不足や二日酔いの時 ・ 体調が思わしくない時 |
・ 胸痛や胸部苦悶感を感じた時 ・ 強い動悸や心拍の欠滞を感じた時 ・ めまいやふらつきを感じた時 ・ 冷や汗、強い空腹感を感じた時 ・ 関節や筋肉に強い痛みを感じた時 |
③ 運動療法
運動療法の主食となる有酸素運動は、大きな筋肉を、リズミカルに収縮させ、一定時間継続する運動です。有酸素運動の代表はウォーキングであり、筋をリズミカルに収縮させることで、心臓への血液還流を助け心臓の負担を軽減することができます。
この他、自転車運動や踏み台昇降運動、ジョギング、ランニング、縄跳び等も有酸素運動です。
多くの患者にとって、運動強度が大きすぎ無酸素運動となってしまう為、十分に体力が向上してから実施すべきです。また、なるべく食後1~2時間に行うのが理想的です。
準備運動(ストレッチ体操)
ウォーキングの方法
参考・引用文献
・ 糖尿病治療研究会:糖尿病運動療法のてびき,p97,103,104,2004
・ 清光至,大平雅美:理学療法ハンドブック第3巻・疾患別理学療法プログラム. p 669-732,2004協同医書出版社